2010年2月25日木曜日

この人おっぱいないよ


わたしは温泉、に限らずお風呂屋さんの大きなお風呂から、町の総合スパみ
たいなところが大好きです。
疲れがたまってにっちもさっちもいかなくなると、でかけていってゆっくりゆっくりお風呂に入ります。寝湯、なんかも好きで、小一時間でも横になっています。
しかし乳がんの手術後はそうもいきませんでした。
ああもう温泉とか共同浴場に行くことはないのだな、などと悲嘆にくれたりしました。
それがなにより悲しいことのように思いました。
でもすべては時間が解決してくれるものです。
手術から1年くらいして娘が、お母さんのキズは目立たなくてきれいだから、と言ってくれました。
なんだか自信がもてて、娘が一緒に入ってくれる限りは温泉が怖くなくなりました。
それでも以前とは違うことがあります。
胸をタオルでかくして歩き、お風呂につかる寸前にタオルをぱっととって頭にのせるようになったのです。やっぱりキズはキズだし,わたしは大丈夫でも人はぎょっとするかもしれないなどと思うのです。
そんなわたしが先日、五日市の温泉に行きました。
もちろん娘が一緒です。バリエーションはそんなにないけれどとてもお湯がよくて、食事もまずまずおいしいので以前にはよく行っていたところです。
でも・・・・
初めて、口に出して胸の傷のことを指摘されました。
おかあさんと一緒にきていた小さなおとこのでした.。
おかあさん、この人おっぱいないよ、というたわいない言葉。
でもなぜかわたしは硬直しました。
キズはあるんだからみんなそう思っているのはわかっているのですが、はっきりと言葉で言われると
相手が小さい子でもびくりとしました。
それからのわたしはびくびくしながら、あまり開放的な気持ちではいられなくなりました。
男の子に話しかけたいな。
これはね、病気のためにとったのよ、って言ったらどうだろう。
ほんとだね、おっぱいないね、って言うほうがいいかしら。
びっくりした? 心配してくれてありがとう、なんていう表現はどうだろう・・・・
でも実際には口をつぐみ、なにも言いませんでした。
だけではなく、娘にその言葉をいわれたと伝えることもできませんでした。
自分はしゃっきりしていると思っていましたが、ホント、軟弱です。
平気なんではなく、平気なふりだけしていたんだな、っとわかりました。
こんなとき、同じ立場の人たちはどう思ったり、どう対応するんだろう。
すごくそのことが気になりました。