2009年5月18日月曜日

乳がんになってよかったこと

がんにかかったことがない人はきっと、ガンなんて恐い病気にかかって気の毒だ、そのうち死ぬんだ、  
心配をたくさんかかえて生き行くなんてかわいそう、と思うかもしれません。
患者であるわたしも完全に心配ごとがゼロかというとそうでもないのですが、手術から3年。
今にして思うと、悪かったことよりよかったことのほうが多くて、感動すらする毎日です。

一番よかったのはよい友人ができたことです。
がんの友人もそう。
がんでない友人もそう。
なんかね、がん友達は同じような境遇のなかでわかりあえるというか、気兼ねなく話せる友人です。
一方、がんでない友人というのは、前から友人だったのだけれど、乳がんになり治療をつづけているわたしを、そのまま受け入れてくれる友人です。
けっこう淘汰されました。
離れていった人もいました。
でも残っている人は本当に大切で、一生なにがあってもつきあい続けるなと確信できる友人です。

それから、自分の人生をじっくり振り返ったり、これからやるべきことを見極められたこと。これは二番目によかったことです。
今まで無理しすぎたな、という反省があって、今まで睡眠時間が少ないのが自慢だったけどとんでもなかったな、とわかったりしました。
これからは無理しない範囲で、本当に必要で大切な仕事をしよう、任務を果たそうという筋のとおった決意(?)をしています。

1日1日を大切に過ごすようになったのもよかった点です。
会いたい人にはなるべく会う。
食べたいものは食べる。
行きたい場所には行く。
やりたくてできなかったことにトライする。
いいたくて言えなかったことをいう。

人に前より寛容にもなれました。
前はわたしは怒りを起爆剤に日々生きていたんですが、今はめったに怒りを感じません。
文句いってもしょうがないよと思うことが多くなり、
あの人はあの人なりに思ってのことでしょうし、いいんじゃない?と考えられたり。

そうそう車の運転もすこぶるよい人の運転になりました。
周囲の人の運転に文句がなくなったし、スピードを出して数分を縮めることに頭がいかなくなった。


こうやって書くとなんか好好爺みたい。


反面、ここで言わないとダメだと思ったら臆せず言うし(前もかなり自由にしゃべるほうではありましが)、これを今やらないと後悔すると感じたら突っ走ることもある。

生きて人から影響を受けたり、ひとに影響を与えたりするってのは、実にすてきです。
生きているかぎりは家族や友人、社会でであうひとたちとよくかかわりあいたいなと思います。

動物好きが高じて動物ライターなどしていますが、鳥は苦手な分野でした。近頃は春だということもありいろいろな野鳥がさえずっているのを聞きながら、その姿を見ながら、野鳥にもっと詳しくなりたい!と思ったりしています。 これもささやかな変化。

しっかりものの母親を目指すのは完全にやめて、欠落点が多いおなじ人間の目線で子供たちとつきあうことに満足しています。 それしかできないしね。子供たちも面白がっているしね。

夫の仕事とか考え方に、あれこれ文句が多いわたしでしたが、気にならなくなってもきています。
自分のなかに攻撃的な面が少なくなってきたら、笑って夫婦で話せることも多くなってきました。

自然体。

これは当たり前のことなんでしょうが、わたしにとっては、最近ようやく自然体になれて、楽な生き方に変わってきたように思えます。


これらの変化は乳がんになっていろいろ考えたり、治療を通して体験したり、感じたことなので、乳がんさんありがとう!という気持ちがやっぱり強いのです。


今後病気が再発したり、ほかの部位に違うがんができたとき、
わたしは今ここに書いているような冷静さを保っていられるのか。
ときどき考えます。
できると思います。
少なくても最初に乳がんがわかったときのような取り乱しはないでしょう。
毎日をきちんと意識して生活しているので、もうこの先はどこで途切れてもいいと納得しています。
ただし死ぬときまで精いっぱい生きる覚悟もあります。

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