2009年5月22日金曜日

乳房再建ではなくシリコンパッド


わたしは左の乳房を全摘出しているので、いろいろな場面で困るなぁと感じることがあります。
一番困るのは前にも書きましたが、温泉などに行く時です。
友人たちはそんなに人はあなたのこと気にしていないよ、と言いますが、
やっぱり気にしてしまいます。
実際に、近所の温泉施設に、疲れきったときに行くのですが、人の視線を感じます。
悪気があるわけではなく、あれっ?ないんだ!って感じの軽い視線だと思います。
でも、ああ見られているな、と感じ、気がひけるその心の動きは止めることができません。
そんなことを気にせず堂々としている女性を見たことがあるのですが、
私はまだそこまで達観できず、もう少し年齢を重ねないと無理な気がします。

プールというのも非常に困ったもんです。
水着を自宅から着てゆけば、着替えの苦痛は一度しかありません。
ですが実は水着の下につけているシリコンのパッドがずれてしまい、
おかしな胸の人になってしまうのです。
以前にはプールで1キロ2キロ泳ぐことを運動としていましたが、ここ2年は気おくれし、
プールに泳ぎに行っていません。
なので海も苦痛です。

乳がんにかかった人の本をあれこれ読むと、乳房再建で人生がまた前向きになった、
というものを目にします。
もともと胸の大きい人は、片方の乳房を失うと完全に体のバランスを崩し、生活に多大な支障をきたします。
肩コリ、からだの傾き、服選びなどなど。
精神的な落ち込みも大きいようです。
胸の小さな私は、大きな人ほど支障はないはずです。
が、よく写真を撮られるときになると、極端に体が傾いているので直してくださいと言われます。
言われても自分ではよく直せず、撮影者さんになおされると、その直される幅がとても大きくて
びっくりしたりします。
そんなふうに傾いているからでしょう、肩コリは以前にもましてひどいです。
頭痛もよくきます。
疲れて眠るときなどは体中が痛くて、うんうん言いながら体制をあっち曲げこっち曲げして
調整します。

私は今、死ぬのがあまり恐くありません。
不思議ですが、死ぬまで精一杯生きると決めてからは、やるべきことをして死のうという明確な
意志、目的を持って日々すごしています。だから恐くないのです。
でも手術は恐い。
乳がん手術は痛くなかったので平気なかんじなんですが、乳房再建はみなさん痛みと闘っているようでそれがとてもいやなのです。
へたれです。
と同時に、再建をするとその下に乳がんが出るような気がする、という根も葉もない確信が
あってできないのです。


乳房再建は嫌なのでシリコンパッドで乗り切ると決めているわたしですが、
日常生活のなかでたびたび、ああ胸がないからこれだよ!!っとため息が出る場面に
遭遇し、病気の影響の大きさを感じずにはいられません。

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